インタビュー 紫波マルシェ ― 最高に美味しいものをそろえられる理由

2012年にオガールプラザの中にオープンした産直「紫波マルシェ」に足を踏み入れると、ブドウやナシ、「もちもち牛」といった町の特産品だけでなく野菜や魚、惣菜など非常に幅広い商品が並んでいるのが目に飛び込んできます。スーパーのように豊富な商品は、そのどれもが産直ならではの新鮮さにあふれています。紫波マルシェ店長、佐々木廣さんに店内のデザインやサインも手がけた佐藤直樹さんがお話を聞きました。

佐藤
このお店にはお肉も野菜も穀物もワインも、産地直送の商品が何でも豊富にそろっていますね。
佐々木
いままでの紫波町の産直は特産の果物を主体にした観光地型のやり方でした。紫波マルシェは立地的にスーパーと同じような使われ方をされるんです。そのために生鮮三品(青果、精肉、鮮魚)を置いて、「台所替わりに便利に使っていただける産直」をコンセプトのひとつにしています。
佐藤
実際に暮らす人たちにとってはとてもありがたいですね。

佐々木
紫波マルシェはスーパーにはできない「朝どり」もやっています。鮮度がいいんです。それから、他のスーパーでは絶対に流通しない完熟したイチゴやトマトも、紫波マルシェでは今日収穫して今日売っています。だから最高に美味しいものをそろえられるんです。旬と完熟と新鮮さ。この3つだけは絶対に他に負けません(笑)。
佐藤
お肉や野菜だけでなく加工食品もありますね。
佐々木
ここは産直ですが惣菜やスイーツも取りそろえています。今は国も六次産業化を掲げていますが、古くから農業で成り立っていた紫波町にはそうした言葉ができる前から加工食品を手がけている人が多いんです。
佐藤
扱っているのは減農薬の商品が多いんですか?
佐々木
関東に比べると、もともと岩手県自体が使用する農薬の量が少ないんです。春の作物はほとんど農薬をかけません。寒くて虫が来ないから必要ないんです(笑)。
佐藤
紫波町の気候は厳しいですが、商品の値段も左右されるところが大きいんでしょうか?
佐々木
確かに今年は天候不順だったんですが、産直価格はだいたいいつも同じような値段で安定しているんですよ。

佐藤
紫波マルシェは町内で10カ所目の産直だそうですね。
佐々木
いままでの産直は、その地域ごとに特長のある商品しかそろえていませんでしたが、紫波マルシェは町内全域の生産者260名が商品を出荷してくれます。とはいえ、品ぞろえの奥深さはやっぱり地元の産直の方があります。お客さんはブドウならブドウが得意な他の産直に寄って帰るわけです。
佐藤
他の産直といい連携が生まれているんですね。
佐々木
紫波マルシェは品ぞろえの幅広さ、他の産直は奥深さ、という役割分担ですね。
佐藤
紫波マルシェは他の9カ所の産直のほぼ中心に位置していて、利用するにはとても便利です。
佐々木
そうですね。紫波マルシェには去年のオープンから1年で21万人の方にご来店いただきました。紫波町は余所に働きにいく人口が県内で一番多い地域だと言われていますが、逆に産直が昼間の人口を呼び戻しているところもあるんです。
佐藤
お客さんからはどのような反応があったのでしょう?
佐々木
「産直にしては品ぞろえも豊富だし、きれいな店だ」とお褒めの言葉をいただいています(笑)。他の産直と比べて若いお客さんがとても多いのは、そのせいもあるかもしれないですね。若い方の中には盛岡や沿岸から来られる方もいて、本当に全県からご来店いただいています。