インタビュー 藤原町長と紫波町が取り組む「循環型まちづくり」

町全体が環境に配慮し、幅広い年齢層が安心して暮らせる ―― 2000年から「循環型まちづくり」に取り組んでいる紫波町には、そんな理想的な生活が都市からすぐ近くに広がっています。この町に新しくつくられたオガールプラザや分譲を開始するオガールタウンについて、住居や町全体のデザインに関わる佐藤直樹さんが紫波町長の藤原孝さんに聞きました。

佐藤
オガールプラザが完成して1年が経ちます。
藤原
オガールプラザは図書館だけではなく産直や医療施設、子育て施設、それからおしゃれなカフェなどがある、官民が融合した複合施設です。実際に来た方のお話をうかがうと、「都市の良さと農村の良さを併合した施設だ」「なかなか洒落ている」と多くの評価をいただいています(笑)。
佐藤
産直「紫波マルシェ」も若い人でにぎわっていますね。
藤原
紫波マルシェは町内で10カ所目の産直です。紫波町では地域ごとに産直を展開していますが、これまでのように地元の野菜に絞るのではなく、一般市場商品や魚、肉などをそろえ「ここに来れば今晩のおかずができる」という新しい形になっています。
佐藤
子どもやお年寄りなど、幅広い年齢層がとても暮らしやすい場所です。
藤原
今後オガールベースが完成し、役場新庁舎も移り、町の中心的機能を果たす施設がオガールの中に入ります。そうした利便性や、買い物や文化面、スポーツ面でも充実した地域になると期待していただきたいですね。
佐藤
そのせいか、私のような東京から来た人間からすると、紫波町で暮らす人たちはみんなすごく幸せそうに見えます(笑)。
藤原
東京方面から来られる方々からは「非常にきれいな町だ」とよく言われます(笑)。決して暗いイメージはないと思います。
佐藤
その紫波町でオガールタウンの分譲がこれから始まります。
藤原
紫波町を中心に円を描いたとき、30km圏内に60万人が住む、県内最大の人口圏域に位置する町です。それだけに盛岡などへの通勤・通学の利便性は非常に高いと思います。そうした都市と非常に豊かな自然のある農村の良さの両方をあわせた住宅地だと感じています。

佐藤
オガールプラザを建てる前に、町民の方を交えてワークショップを重ねていました。
藤原
町が主導すると「町がつくった施設だから町がやるだろう」となってしまう。そうではなく、町民のみなさんに参加していただいて一緒になって検討を進める。みんなで責任を持って運営していく。まちづくりの基本はこれだと思います。
佐藤
逆に言うと町民の方が素直に意見を言える環境にあるわけですね。
藤原
そうですね。時間は年単位でかかりますが、やはりそれが地域のみなさんに理解していただけるひとつの大きな柱になっていると思います。
佐藤
町長は2000年から「循環型まちづくり」を掲げていらっしゃいます。今でこそみんな気づき始めていますが、当時実際に経済や行政を連携させて環境を意識した舵取りを行うのは大変な先見だったと思います。
藤原
当時、紫波町にはゴルフ場が4つも計画されていたんですよ。そうなったら町の半分以上がなくなるんじゃないかと(笑)。しかもゴルフ場は除草剤などを使いながら管理していかないといけない。そうなると環境が荒れますよね。そうではなく、環境を大事にしなければとつくづく感じたんです。
佐藤
紫波町の気候は厳しいですが、例えば冬に暖かな生活を送るためにエネルギーを投入するのではなくむしろエネルギーを抑え、世界的水準のエコロジーの研究成果を実際に住むことに当てはめて町づくりがなされていますね。
藤原
特に冬場になると部屋と外との温度差が非常に大きく、身体に負担がかかります。また現在では化石燃料が非常に高騰していますから、「循環型まちづくり」ではいかに町全体で化石燃料の消費量を抑えるかが第一です。
佐藤
今後、オガールタウンはどんな町になっていくと思い描いていますか?
藤原
プロジェクト全体の完成はおそらく3~4年後になると思います。これからの住宅のあり方を考え、エコハウスを中心にしたオガールタウンは、循環型まちづくりの集大成になるでしょう。紫波町の人口は、おそらくここ数年中には横ばいから若干伸びると思います。オガールを中心に日詰商店街や町全体が一緒になって発展できれば、ますます人口が増加すると期待しています。